「同級生」
中村明日美子がはじめて手掛けたBL作品『同級生』は、二人の男子高校生のじれったくて純粋な恋の姿に、胸を打つときめきを感じさせた傑作漫画。発表以来その反響は広がり、多くの人に愛される自身の代表作となった。
そして2015年、アニメーション化が発表されると、またも驚嘆の声が上がった。まさに理想的な制作陣。キャラクターデザインの林明美は、原作にある優美な男性像をすくいとり、麗しくも愛おしい佐条と草壁を描いた。
美術監督の中村千恵子は、手彩のタッチをつかい、感情が沸き立つ情景を見せる。そして優しいギターの旋律で少年たちを包みこむ押尾コータロー。洗練されていながらも、ぬくもりを感じるこの世界を監督するのは、情感と艶の演出で注目を浴びてきた俊英・中村章子。清らかで繊細な青春の息づかいが、最高の布陣で映像に刻まれる。
ただ同級生になったことが、奇跡であるほどのきらめきをもって心ではじけたあの瞬間。まばゆくて切ない恋の物語が、いま紐解かれる。